東方家の長男は犠牲の上で成り立っている。
憲助は母を、常敏は他人を。
誰の犠牲の上で成り立っているか、が2人の価値観を決定づけた。
憲助は、自分の命を母の命でもあると思っているからこそ、その人生を尊いものにするために社会貢献をしている。
一方で、自分をいじめていた他人を殺した命で生き延びる常敏。常敏があの瞬間に、弱いものは強いものに淘汰されるという価値観になるのは必然だったなって感じるね。
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東方家の長男以外の子供たちは長男のことをどう思っているのかな。
呪いを背負って可哀想?それとも、命を掛けてくれるほどの愛情を受けていて羨ましい?
いくら平等に愛していると言っても、たった一つしかない命を捧げるって、つまり特別扱いなわけで。
だから東方家の子供たちは、ずっと愛情を欲しているのかな。
母親が不在というのもあるけど、あんなに憲助が子供達を愛していても、どこか愛情に飢えているよね。
この家には圧倒的に特別な「長男」がいて、自分たちはどれほど愛されようがその特別の座には立ち入れないわけだから。
特別に対しての劣等感がなければ、常秀の「オレには何があるっていうんだ?」大弥の「あなたはあたししか知らない」なんて言葉生まれない。